🌿訪問看護で出会った忘れられない言葉
~「こんなんだったら、家にいればよかった…」~
こんにちは、ケアクリ看護センターです。
5月は看護月間。
今回は、私が訪問看護師として働く中で、今も心に残り続けているある利用者さまとの出会いについてお話ししたいと思います。
※個人が特定されないよう、一部内容を変更しています。
🌸仕事を生きがいにしていた女性
私がまだ30代だった頃のことです。
担当していた利用者さまは、50歳前後の独身女性。
長年キャリアウーマンとして第一線で働かれてきた方でした。
難病を抱えながらも、自分らしく生活されていましたが、そこに新たに“がん”が見つかりました。
治療を続けておられましたが、病気の進行は早く、やがて抗がん剤や放射線治療も難しい状態となりました。
🏠「迷惑をかけたくない」という思い
ご家族は遠方におられました。
でも、これまで仕事中心で生きてこられたこともあり、
「家族に迷惑をかけたくない」
その思いがとても強い方でした。
訪問看護では、体調管理だけではなく、日々たくさんのお話をしました。
仕事のこと。
人生のこと。
女性としての生き方。
当時の私にとっては、少しお姉さんのようで、時にはお母さんのような存在でもありました。
訪問のたびに、たくさんのことを教えていただいていたように思います。
🌙自宅にいたい。でも、苦しい
病気が進行すると、痛みや息苦しさも強くなっていきました。
在宅医の先生とも連携し、緩和ケア病棟への入院準備も進めていました。
でも、ご本人の中には大きな葛藤がありました。
「自宅にいたい」
「でも、一人では苦しい」
「病院へ行けば楽になるかもしれない」
「でも、家にいたい」
その揺れる気持ちを、私たちは何度も一緒に考えていました。
☎️忘れられない電話
とうとう体力的に限界となり、元々通院されていた病院へ入院されることになりました。
その日の夜、事務所に一本の電話がかかってきました。
「〇〇さん……」
弱々しい声でした。
「せっかく病院に来たのに、しんどさは変わらない……」
「こんなんだったら、家にいればよかった……」
息苦しさが強い中、それでも私に伝えたくて電話をくださったのだと思います。
その翌日の夜、彼女は静かに息を引き取られました。
🌱彼女からもらった“宿題”
あの時、私は何度も考えました。
「もっと自宅で支える方法はなかったのか」
「もっと別の提案ができたのではないか」
訪問看護師として、大きな宿題をいただいたような気持ちでした。
もちろん、その時その時で選択肢は変わります。
気持ちも揺れます。
病院が必要な時もあります。
でも私はあの出会いから、
“自宅で過ごしたい”という思いに、もっとこだわってもいいのではないか
そう考えるようになりました。
🏡訪問看護は、暮らしの中にある
訪問看護は、病気だけを看る仕事ではありません。
暮らしの中に入り、
人生に触れ、
その人の価値観と向き合う仕事です。
看護師としてだけではなく、
人生のご縁としてつながる関係でもあります。
利用者さま一人ひとりが、私たちに“宿題”や“課題”を残してくださいます。
そしてその答えを探し続けることこそ、訪問看護の醍醐味なのかもしれません。
🌸出会いに感謝して
訪問看護には、嬉しいこともあります。
でも同じくらい、つらいことや悲しいこともあります。
それでも、この仕事を続ける中で感じるのは、
看護師としてだけではなく、人として成長させていただいている
ということです。
あの時いただいた“宿題”は、今も私の中にあります。
そしてこれからも、一人ひとりの「その人らしい暮らし」を支えられるよう、学び続けていきたいと思います。
出会ってくださったすべての方に、感謝を込めて。🌿
~最後まで読んでいただき、ありがとうございます。~
投稿者:nakase



