第7回日本在宅医療連合学会大会
6月14日~15日 出島メッセ長崎で開催されました日本在宅医療連合学会に参加してきました。
今回は当センターの教育アドバイザーの協力も得て「看護と介護の連携で築いた“最期の安心”~介護士との連携が在宅看取りに影響を与えた事例報告~」のポスター発表をしてきました。緊張もありましたが、遠い長崎という地での開催なのに、日ごろ連携しているクリニックのスタッフの方や訪問看護ステーションの管理者さんも参加されており少し緊張もほぐれて発表ができました!
沢山の講演やシンポジウム・ワークショップ、企業展示ブースもありどこに行くか悩ましかったです。。。。
在宅医療の今後を考える学会に参加し、多くの気づきと学びを得ることができましたので以下に、特に印象に残ったテーマを紹介します。
■ 血液透析の終末期医療 〜その人らしさを支えるケアとは〜
「終末期における透析の中止」について深く考える機会となりました。
腹膜透析(PD)を選ぶことで最期まで自宅療養が可能となるケースも多く、早期の導入と病院との連携がカギとなります。
血液透析(HD)は週3回通院が必要で、医師は患者の状態変化を日々確認できる強みがありますが、在宅の実情を知らない医師も多く、ACP(人生会議)への積極的な関与が求められています。ご家族は送迎のみで診療場面に同席しないことも多く、透析中止の判断には、ご本人の意思に加え、家族の理解と同意を得るプロセスが欠かせません。認知症のある方への説明方法や情報共有、緊急時連絡先の明確化など、訪問看護師が“つなぐ役割”として真ん中に入ることの重要性を再認識しました。中でも印象的だったのは、「家に帰りたい」という希望があった時に、退院前カンファレンスの調整次第でその機会を逃すことがある」という現場のジレンマです。限界まで透析を継続しながら、最終的に「止める」決断を誰がどのタイミングで担うか。その議論には重みがありました。
■ 在宅医療と災害への備え 〜地域の中で命を守る〜
もう一つの大きな学びは、在宅医療と災害時対応の話題でした。
発災後72時間は公的支援が届かない可能性がある中で、「自助・共助の備え」が地域に根付いていることが重要です。
通信・救護要請シート、備蓄チェックリスト、顔の見える関係性など、日頃からのつながりがいざという時の命綱になるということ。
ケアマネや訪問看護との連携で、「避難方法」「避難場所」を担当者会議で確認するなど、形式知化された仕組みがあることで災害時にも動ける体制が整っているところもあり、とても学びがありました。
また、災害対応のBCP(業務継続計画)においては、自事業所のBCP(物資・人の振り分け)同業連携型のBCP(アクションカードによる役割明確化)地域全体でのBCP(事前協定やSNS活用)など、「どの段階でも連携を意識した準備ができているか」が問われていました。
今一度、自施設のBCPを見直ししないと、、、と思いました。
■ つなぐ人材としての看護師の可能性
透析医療の終末期、災害時の在宅支援という2つで、共通して感じたのは「看護師が真ん中に立って“つなぐ”存在になれるかどうか」です。医師と家族、病院と在宅、介護と医療、日常と非常時。。。。その間に立ち、情報を整理し、伝え、判断の支援をする役割。今後の訪問看護において「つなぐ・つながる」仕掛けをしていくことが、ますます重要になると確信しました。
■ 笹川保健財団シンポジウム「在宅看護のカスタマーハラスメント対策~日本財団在宅看護センターネットワークでのカスタマーハラスメント対策への取り組み」がありました。弁護士の先生や大学教授の話しもお聞きして、事前の対策と職員への対策の周知、そして看護介護という場面は一般企業の「カスタマーハラスメント対策」では対応しきれないことも多いため、別ものとして「ペイシェントハラスメント」という言葉で対策をしているところもあるということを知りました。
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今回の学会参加は、私たちが向き合う日々のケアの本質を見つめ直す機会になりました。透析中止の意思決定、災害への備え、そして地域との連携。どれも簡単ではないからこそ、看護師としてできること、すべきことを考え続けていきたいと思います。
投稿者:nakase